#010【40年目のホームルーム】「あざらしは、うすぎたない金のために」

🟥今回の学級通信について

今回の学級通信は、道徳の授業の資料として作ったものを家庭への便りとしました。ねらいは動物愛護であるわけですが、外国の子供たちがどんな思いで動物を見ているのか、そうしたことも子供たちの世界を見る目を広げる1つの働きかけになるのかなと思い、この資料を作成しました。

今回は、残念ながら、内容のほとんどを非公開とさせていただきました。ご容赦ください。

この授業のしばらく後の出来事として、子どもたちの感性は素晴らしいと思うような出来事が、当時の私の実践記録ノートに書かれていたので、それを紹介したいと思います。

実は当時、北小学校の先生方は全員、実践記録という、授業記録や子どもたちの表れについて日記を書いていました。それを必ず毎週、教務主任、教頭先生、校長先生に見ていただいきアドバイスを書いていただいており、校長先生たちも子供たち のことを、とても詳しく覚えてくださってましたし、楽しみにしていていらっしゃいました。
 その実践記録が実は残っているんです。とても見せられるものではありませんけど。その中に今回の道徳資料に関係したエピソードがあります。実践記録は公開するものではないので名前は出さないので安心してください。
 ちょうどこの道徳の授業をやった数日後のある子の日記です。
「今日は学校のプールにカモが来ました。昨日も来たカモがまた来たのでびっくりしました。餌をあげたら食べたので、このカモは人から餌をもらうのが慣れているなと思いました。その後また行ってしまいました。カモには毎日いて欲しいけど、プール掃除の日が来るとカモの餌がなくなってしまうので困るなぁと思います。」
 とても優しい日記で私は感動しました。こういうセンスがクラスの中にどんどん育っていくといいなぁと思っていたわけです。

 この日記には家の人の感想も書かれています。
 「人なつっこいカモだね。餌をやっても怖がらずに食べたものね。家で飼ってもいいような可愛いかもだったね。」
 そこに私も、「私もカモが大好きです。どことなく愛きょうがありますよね。どんなカモか見てみたいです」と返事をしています。

 そしてこの日記をクラスの皆さんに紹介しました。そうしましたら次の日、こんなことを書いてきた子がいました。
 「今日、〇〇さんの作文でカモのことが書いてありました。・・・家に帰ったら、今日の夕ご飯は焼肉で、ちょうどカモのお肉をおばあちゃんが焼いていたので、おばあちゃんが「カモの肉だけど食べてみな」と言ったので、ひと口食べてみたらすごくおいしかったけど、〇〇さんの作文を聞いていたので食べたくなくなってきました。見るのもいやになってしまいました。私はカモもお肉になってしまってかわいそうだなと思いました。カモはお肉にするよりは空に飛んでいてもらいたいです。」 
 「カモはお肉にするよりは空に飛んでいてもらいたい」と、書いてくれています。この言葉、なかなか出てくる言葉ではないなと思います。優しいですね。せっかくおばあちゃんが焼肉でカモの肉だから食べてみな」と言ってくれたのに、食べたくなくなったというのはすごい影響だなと思いました。

 さらに、この日記に対して私のコメントが「しかし、それは偶然でしたね。私も今日あなたと全く同じ経験をしました。」こう書いてありました。プールに来たカモを見た子、そして、その子が書いた作文を聞いた子がカモのお肉に遭遇し、実は私も今日カモ食べたんです、という話になっていて、すごい連鎖が起きているという、こんなことが当時あったんですね。

 道徳の動物愛護の話がこんなところで生きていたのかもしれないと思うと、せっかく孫に食べさせてあげようとしたおばあちゃんのお心には誠にすみません。